一昨々々々々日、演奏会に出ました。(後編)
当日朝、起きて窓から外を見て最初に感じたのが
「……お客さん、来るんだろうか?」
でした。
この日、アカヒカワの天候は、雪。カミカワ地方は、大雪 風雪 雷 なだれ注意報が出ておりました。
会場の大雪クリスタルホールに行くと、
「たいせつ」クリスタルホールというより「おおゆき」クリスタルホールという感じになっています。
除雪が追いついていない歩道をふくらはぎまで埋まりながら進み、なんとか建物に入りました。
昨年度は12月だった「ウインター・コンサート」が、今年度は3月になったんだなぁ、と思っていたのですが、実態は3月でもやっぱり「ウインター・コンサート」でした。
そんな悪天候の中、道東からトンボ返りしたたろーかじゃさんは、午前中の当日リハーサルに滑り込みで間に合いました!
素晴らしい!
睡眠時間は、2時間くらいだったようです。
当日リハでも、クリスタルホールの音響のすばらしさを再度感嘆しました。
以前にこのメンバーで、チーム名「ドラの穴」としてサッポロの教育文化会館大ホールで弾いたときは、おたがいの音がステージ上では全く聴こえなくて往生したものでしたが、
ここクリスタルホールでは同じステージ上の仲間の音が、ものすごくよく聴こえるのです。
ともすれば、ひとつ置いて隣のいけやんの音が、隣に座ってるたろーかじゃさんの音をかき消すくらい響きます。
前日リハ、当日リハ、本番と、都合3回このホールで合奏できたということだけでも、ここに来た価値はあるというものです。
リハ後、館内のレストランで昼食をとり、開会行事に参加してから楽屋へ向かうと、入り口の前に既にお客さんの列ができていました。
そして、その最前列の数名は、いけやん(※地元民)を見にいらっしゃった方々でした。
アサヒカワ市民マンドリンでお世話になった方もいらっしゃっていて、お菓子を差し入れてくださいました。
ありがとうございます。
ワタクシも当初の予定では、職場の同僚1名とサッポロ在住の母(アサヒカワに行く用事をこの日にぶつけると言ってくれていた)が見に来てくれるはずだったのですが、さすがにこの日の天候では無理でした。
さて本番。
ステージに出ると、客席最前列のかぶりつきに、いけやんのお客様たちがズラ〜〜〜〜っと並んでいるではありませんか。
かえって緊張が抜けました。
1曲目に弾いた「Neĝo brilas 〜雪がきらきら〜」(いけやん作曲)と、2曲目の「流れよ我が涙」(ダウランド作曲)は、
いけやんが練習時録音を YOUTUBEのいけやんのチャンネルにUPしましたので、よろしければお聴きくださりませ。
ワタクシに関しては、緊張しなさすぎてミス連発でした。
あるいは、あがりすぎてボ〜っとなっていたのかもしれません。
練習中は全然やらなかった「マンドセロでマンドラの位置の弦を弾いてしまう」ミスを、よりによって本番にやらかしました。
さらに「アメイジング・グレイス」の、よりによってあの有名なメロディを担当するところで、まさかの「入り損ね」もやらかしました。
もともと下手ではあるし、本番で上手く弾けたためしもないのですが、今回くらい自分の演奏が不本意だったのも近年珍しいです。
いけやんとたろーかじゃさんは良い演奏をしていただけに、たいへん申し訳ないです。
いけやんは緊張がトークに出ました(私見)。
いや、聞いていた人に「緊張してる」と思われるような緊張ではありません。
ハリのあるよく通る声で全くよどみなく、流れるようなトークでした。
あのトークの8割がアドリブだとは、ステージ上のたろーかじゃ氏とワタクシ以外だれも気づきはしないでしょう。
台本通りでも持ち時間の15分ギリギリちょっとオーバーするかな、という感じだったのに、こんなに盛ったら完全に超過するよう〜、とハラハラいたしましたです。
(幸い、他の団体様が巻きぎみだったので、進行に影響は出ませんでした。)
そんなに緊張していた(私見)いけやんですが、「R274」の「ジャ〜〜〜ン!!」と弾くところでは、しっかりいつものドヤ顔とドヤポーズでキメてくれました。
出番が終わってからも「翼をください」が終わるまではステージ衣装のままで、なんとなく気が抜けない感じでしたが、「翼をください」を弾いた後は
「終わった……なにもかも……」
が、思わず口をついて出たものです。
そして、通りすがりの他の出演者の方をつかまえて、記念写真のシャッターを押してもらったのでした。
緊張が解けてホッとした瞬間だったためか、なかなかイイ感じで撮れてましたよ。
…………モザイクが怖いですが、気にしないでやってください。
ステージ衣装のテーマは「禁酒法時代」……嘘です。
以前に「ドラの穴」名義で演奏したときのステージ衣装は「黒地に赤のワンポイント」でしたが、今回は「いけやんがピンク、たろーかじゃさんとワタクシは黒地にピンクのワンポイント」でした。
着替えた後、今度は客席で他団体の演奏を聴きました。
やはり一番印象に残ったのはアイリッシュハープです。
「スコットランドの釣鐘草」とか、あまりの美しさに涙が出そうでした。
「いつも何度でも」も、よく耳にする曲ですが、ここまで美しい曲だとは気付いてませんでした。
いや〜、良かったです。
そして、ギネスが飲みたくなりました。
ここで、たろーかじゃさんは帰路に着きました。
あまりの悪天候に、「大事をとってアサヒカワに泊まったら」とすすめたのですが、翌日の仕事に穴をあけられないからと、道央に向けて出発しました。
いけやんとワタクシは最後まで聴きまして、それぞれ素敵な演奏だったのですが、なにしろ長時間だったので終演のころにはヘロヘロでした。
大臀筋が筋肉痛になる感じの疲労です。
よれよれと客席を立ってエントランスまで行くと、人が出入りしているわけでもないのに自動ドアが開閉していました。
怪奇現象かと思いきや、さにあらず。
猛吹雪で自動ドアのセンサーが誤作動を起こしていたのです。
この悪天候の中、会場まで足をお運びくださったお客様方、あらためてありがとうございました。
「これは……バス停まで歩く間に遭難するわ……。」
と考えた我々は、さくっとタクシー会社に電話しました。駅までならワリカンすれば数百円です。
幾狭「スミマセン、大雪クリスタルホールまで1台お願いします。」
タクシー会社「たいへん申し訳ありません、本日、悪天候のため営業を中止しております。」
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と、えらいことになっておりましたが、そのままクリスタルホールにいても腹が減るばかりですので、しかたなくとにかくメシの食えるところまで歩くことにしました。
歩道は除雪が間に合ってなくて歩けないので、車道を歩きました。
車道も除雪は間に合ってなくて、車はみんな腹をこすりながら走ってました。
国道に向かっていたら、国道上をバスが走っているのが見えました。
運休にはなっていないようです。
バス停まで「八甲田山・死の行軍」みたいな状況になりながら歩き、風上に背を向けながらバスを待ちました。
すると、かろうじて流していたタクシーが先に来ましたので、拾いました。
心情的には、拾ったというよりは拾われたような感じでしたが。
途中で、たろーかじゃさんから「危機的な状況を脱した」旨のご報告を受け、一瞬安心しかけましたが、
内容は「何もない雪原から脱して両脇に人家があるところまでたどり着いたので、もう遭難の心配はない」というものでした……。
14階建てのビルの最上階、夜景がウリのお店で吹き荒れるブリザードを見下ろし、大移動するたろーかじゃさんを心配しながら、いけやんとワタクシはザンギやらピザやらチーズ盛り合わせやらを食べたのでした。
うまかったです。
〜終わり〜
追記:当日のより正確で簡潔な記録は、いけやんのBLOGを参照されるとよろしいかと。