例によって例のごとく(完結編)

おひさしぶりです。
2012年マンドリン四重奏演奏会、いまさら完結編です。


話は演奏が終わって我々が楽屋に戻ってきたところにさかのぼります。

楽屋に戻った直後、いけやんとワタクシの目が合った瞬間、お互いに相手が自分と同じことを考えていることがわかりました。


幾狭「あのお客さんっ!!」
いけ「演奏のっ!! 真っ最中にっ!!」
幾狭「しかも最前列っ!! ど真ん中っ!!」
いけ「いや、それでこっちが動揺したのが悪いんだけどさっ!!」
幾狭「いやいや、あれは誰でも動揺するってっ!!」


そんな我々のやりとりを聞き、ぴよがポヨンと一言。


ぴよ「なんかあったの〜?」




いけ「…………」
幾狭「…………」




いけ「いや、ほらあの……3楽章を弾いてる最中に客席に入ってきたお客さん、いたっしょ?」
ぴよ「え? そうなの?」
幾狭「うちらが弾いてる目と鼻の先に、ドカッと座ったお客さん……」
ぴよ「え〜? 全然気づかなかった〜」


いけやんとワタクシの驚愕を察していただけたでしょうか。
いけやんとワタクシがあのお客さんの入場に動揺して消えたりコケたりしている間、
ぴよは、あのお客さんの存在自体に気づきすらせず、ひたすら演奏していたのです。

おそるべし、ぴよ。
ものすごい集中力です。

いけやんとワタクシも、見習うべきでしょうか。
しかし、かなり特殊な神経の構造がなければ真似できるものではないような気がします。
得難い資質ではありますが、代わりに失っているものもなんだかんだありそうな気もします。


その、ぴよの得難い資質暴発は、演奏会直後にさっそく起こりました。


この日は、演奏会の後にマンドリン連盟ほっかいど支部の総会があり、いけやんが出席することになっていました。
たぶん、そのあとはそちらの打ち上げがあるものと思われました。

ぴよは、彼女が月に1度参加している、我々の出身大学マンドリンクラブOB会練習会のあとの飲み会に、この日も誘われていました。
ワタクシもぴよから、そっちに合流しないか誘われましたが、パスしました。

というわけで、この日ワタクシは1人で個人的に演奏会の打ち上げになるかなぁ、と思われました。
1人で飲むのもけっこう好きですので、それも良いでしょう。

ただ、別の用事でちょうどサッポロに来てるはずの太郎冠者氏と合流できる可能性もありましたので、その場合は2人で飲めます。
それも楽しそうです。


そんなわけで、ワタクシの当日夕方の過ごし方の青写真は、1人で飲むか、太郎冠者氏と2人で飲むか、だろうなぁ、と思っていたわけです。


演奏会がはけて、いけやんは総会に向かいました。
とりあえず各飲み会のある夕方まで、ぴよとワタクシは近くの喫茶店で過ごし、
総会が終わったら、いけやんとも合流することになりました。

ぴよと2人で入った喫茶店は、夕方からライブがあるとかで、リハーサルの真っ最中でした。

大音響で演奏が流れ、音が止んで打ち合わせや機械の調整をする、が交互に行われる中、まっとうな会話が成立しないので、ぴよと携帯に打ち込んで筆談しました。
大音響で会話が中断されるので携帯に言いたいことを打ち込み、それを相手に見せるとみはからったように音が止む、声に出して返事をしようとすると再び大音響、という状態を繰り返すこと数度。
そのたびに苦笑いです。


ぴよは再度、OB会練習メンバーでの飲み会にワタクシを誘い、
OB会の練習には全く参加していないワタクシは、再度断りました。


やがてバンドの方々のリハが終わり、なんとか普通に会話ができるようになりました。


ぴよは、ワタクシが行かないなら、この日のOB会メンバーでの飲み会には出ずに、ワタクシと過ごすと言ってくれました。
いけやんも(総会の方の打ち上げにも出席したいだろうとは思われるのですが)こちらに来てくれますので、今日合奏したメンバー3人そろうことになりました。


これで太郎冠者氏も来られたら4人で飲めますので、予定よりだいぶにぎやかになります。
太郎冠者氏の携帯に送るメールを打ち込みながら、念のため、

「太郎冠者氏もちょうどサッポロに来てるんだけど、呼んでもいいよね?」

と、ぴよに確認すると、

「ん〜〜〜〜〜…………。ダメ。」

という意外なお返事。

あれ? と思ったけど、ぴよも他の飲み会を断ってワタクシにつきあってくれていますんで、ワタクシも今日一緒に合奏したメンバーと過ごすことを最優先に考え、打ちかけていた太郎冠者氏あてのメール(けっこう長文)は削除しました。

しかし、なんでダメなんだろ?

もしかして、ワタクシが知らないところで、ぴよと太郎冠者氏の間にトラブルでも発生していたのだろうか?

など、もやもや憶測しながらしばらく過ごしました。


やがて、いけやんとも合流して本格的に飲みますか〜(←場所はそのまま。すごい長っ尻の客である)となったところで、

ぴよが

「そうだ、太郎冠者さんも誘ったら〜? 今日サッポロに来てるって言ってたよね〜。」

と言い出しました。




…………えっ?





さっき、彼を呼んでいいか訊いたとき、ダメって言ったの、ぴよさんでしたよね?

それでワタクシさっき、彼あてのお誘いメール(けっこう長文)を削除しましたよね?




と、ぴよに詰め寄りましたところ、

「あっ、OB会の飲み会に太郎冠者さんを呼ぶのかと思って、ダメって言ったの〜」



なんでじゃ?!



ワタクシOB会の方の飲み会には出ないって、はっきり断った後の話だったよね?

んでもって、太郎冠者氏は別の大学出身だよね?

いったいどこをどう押せば「太郎冠者氏がぴよやワタクシと一緒にOB会の飲み会に出る」話になるとゆーのだ?

ぴよの脳内では、どんな変換が起こっているんだ?!



そんなこんなで幾狭さん大激怒でしたが、無事に太郎冠者氏とも連絡がとれ、4人で飲むことができました。

BGMは、さっきリハやってたバンドのライブでした。