聖マルコ教会「春のコンサート」に出演して来ました。

6月1日(土)、アサヒカワの聖マルコ教会でおこなわれました「春のコンサート」に、
マンドリンユニット「マルスピアーレ」として参加してきました。

この件につきまして、当blogの2013.3.28付け記事「忙中忙あり」の最後の方でチラッとふれておりますが、「詳細が決まりましたら、あらためてお知らせいたします。」とか書いといてその後まったくお知らせ記事を書かないまま当日から1週間も過ぎてしまいました。
とんだオオカミ中年でございます。申し訳ありません。

さて、演奏会当日を遡ること2週間前の土曜日、会場の聖マルコ教会礼拝堂をお借りいたしまして、最後の合奏練習をおこないました。
この日の午前中、幾狭は○ッカー部の試合の引率でフラノ方面に行っておりまして、

朝、地元からアサヒカワを経由してフラノ方面まで出かけ、
昼、試合が終わったらアサヒカワまで引き返し、
夕方、合奏練習に参加、
翌朝、地元へ帰る、

というカンペキな計画をたてておりました。

ところが、今年度、「ブカツのエンセイにおけるバスの無料使用は2回まで」という制限がなくなるという話が出ていまして、実現すれば毎回無料でバスが使用できるという話が出てきており、まだ実現していないのですが、情報を小耳にはさんだ保護者様の強い要望により今回から突然「現地集合現地解散でなくてバス使用」ということになったのでした。

というわけで、この日の幾狭さんは、

朝、地元からアサヒカワを経由してフラノ方面まで出かけ、
昼、試合が終わったらアサヒカワを経由して地元に戻り、
午後、地元からアサヒカワまで移動し、
夕方、合奏練習に参加、
翌朝、地元へ帰る、

というゲルマン民族並(嘘)の大移動となったわけでありました。

とはいえ、この日は早い時刻の試合の後の遅い時刻の合奏練習だったため、それでも可能だったんですが、
演奏会本番の日の試合はアサヒカワで昼過ぎまでかかり、リハーサルが16時からでしたので、往復のバスに付き添っていては間に合いません。
ブカツの主顧問に事情を話して、バスでの付き添いを主顧問にしてもらい、ワタクシは自分の車で行ってアサヒカワでの試合が終わったらそのままリハーサルに直行させていただくことにしました。
主顧問は自チームの試合での監督の他に、よそのチームの試合の審判もやらねばならんため、主顧問がセイトと一緒にバスで行くとセイトも顧問待ちで会場に長時間とどまらねばならんので、申し訳ないんですが(棒読み)。

ちなみに、演奏会当日のアサヒカワ往復は、事前に地図とにらめっこしてロータリーを避けつつなるべくシンプルで迷わなさそうな経路を予習して臨みました。
それでも往路にちょっとだけ迷子になりましたが、アサヒカワは3年間住んだことがあったため、途中で気づいて軌道修正することができました。
土地鑑て大事。

さて、幾狭匠の演奏会報告日記のマクラが演奏会にたどり着くまでの仕事がらみのあれやこれやブツクサグチグチなのがすっかりデフォになっとりますが、お待たせいたしました、ここからやっと本題の演奏会のなんやかんやを書き始めます。

なお、「マルスピアーレ」のメンバー3名のうち、いけやんはblogに、たろさんはmixi日記に、既に演奏会報告を書いています。

というわけで、コンサートの概要につきましては、いけやんのblog「えぶたんのほっぺ」の当該記事
より引用させていただきます。

春のコンサート−welcome to church- 
日時:2013年6月1日(土) 
18:00開場、18:30開演
場所:旭川聖マルコ教会(旭川市2条西3丁目1-9)
出演:マンドリンユニット Marsupiale(マルスピアーレ)
   アコーディオン Iさん

第一部
1.Nego brilas〜雪がきらきら〜(いけこ作曲)
2.かたかご揺れる(たろーかじゃ作曲)
〜楽器紹介〜
3.リラの雨ふる(たろーかじゃ作曲)
マルスピアーレの名前の由来など〜
4.あなたにあげよう(いけこ作曲)

〜ショートメッセージ(牧師様のおはなし)〜

第二部<アコーディオンIさん&いけこ>
1.蘇州夜曲(服部良一作曲、吉田剛士編曲)<アコーディオンIさん&マルスピアーレ>
2.カチューシャ(ロシア民謡)<マルスピアーレ>
3.流れよ、わが涙(J.ダウランド作曲、いけこ編曲)
4.白い花/サルタレッロ(C.ネーグリ/V.ガリレイ作曲、いけこ編曲)
5.3つのマンドラのための組曲3 R-274(たろーかじゃ作曲)
   1.樹海を馳せる 2.霧の海に沈む 3.星の海を見下ろす


演奏楽器は以下の通り

いけやん…マンドリン/マンドラ
たろさん…マンドラ
幾狭さん…マンドセロ/マンドラ

Iさん…アコーディオン

マルスピアーレの3名に加え、二部の1・2曲目の演奏にIさんが参加されています(後述)。


ワタクシ、演奏会でステージに上がる直前もステージに上がってからも、心臓がドキドキしたり頭に血がのぼってぼーっとなったり手に力もなくなりて萎えかかりたり、ってことがあんまりないので、自分はアガり難い人間だと思っていました。
しかし、よく考えてみると、本番演奏中に練習ではやらかしたことのないポカをやったり、見失ったことのない音符を見失ったり、練習して克服したと思っていたハイポジションを本番演奏中にきれいさっぱり忘れたり、ってことが頻発いたしております。
これは要するに、自覚症状がないだけでホントはアガっているんじゃないでしょーか。

幕開き(幕はありませんが)は、いけやん作曲「雪がきらきら」。
まだ雪が大好きだった子どものころの、雪の日の高揚感が懐かしい元気のよい曲なんですが、
ワタクシはこの曲、リハーサルの出だしで大ゴケしていたため、腰が引けた演奏になってしまいました。
いけやん、スマン。

しかし、客席が近い!
目の前にお客様!!
ワタクシ、自分から見てやや左側の席にお座りのやや高齢のご婦人と、何度もアイコンタクトをとってしまいました。
とてもアットホームな雰囲気です。

そんな礼拝堂内に、トーク担当:いけやんのご挨拶、マイク不要のミラクルボイスが響きわたります。
この日もイイ感じで地上3メートルあたりを漂うエクトプラズムから発声しています。
いけやんは、第一部の曲順が偶然「冬の曲→早春の曲→春の曲」という順番なのにこじつけて、カンペキな司会原稿を作成していました。

2曲目の「かたかご揺れる」は、たろさんの作った曲の中でも特に好きな曲です。
全体に小柄で華奢で、顔の造作の一つ一つが小さくて地味なんだけどよく見るとけっこう可愛くて、口数も少ないんだけど、微笑むと一重まぶたのオメメが糸みたいに細くなるのが見たくてつい色々世話を焼いてしまいたくなる、でも実は見た目よりずっとしっかりしていてたくましい、そんな風情の女の子のような……

う〜ん、中一のときの同級生だったミカちゃん元気かなぁ。
思えば彼女がワタクシにとって、トニオ・クレーゲルでいうところのハンス・ハンゼンだったかもしれん。

スミマセン、妄想スイッチはいりました。

もうちょっと一般的には、万葉集を主題にした日本画の、かたかご摘んでる清らかな乙女みたいなイメージの曲で……って、あまり一般的じゃないか。

えーと、そんなフィルター通さなくても、かたかごの花が風に揺れる可憐な情景を想起させる、とてもかわいらしい曲です。

この曲の後、マンドリン、マンドラ、マンドセロの順で楽器紹介をしました。
同じ形で大きさと音の高さの違う3つの楽器を並べて掲げると、お客様たちが感嘆の声をあげてくれました。
なんてすばらしいお客様たちでしょうか!
言葉での説明の他、いけやんがマンドリンで「オーソレミオ」、たろさんがマンドラで「ドラえもん」、幾狭がマンドセロでバッハ無伴奏チェロ組曲第一番「プレリュード」(の、最初の四小節)を弾きました。
もののみごとに試奏した曲のジャンルがバラバラですが、色々な可能性のある楽器であることが伝わったんじゃないでしょうか(後付け)。

3曲目も、たろさんの曲で「リラの雨ふる」。
今回の演奏会の練習をしているうちに、すごく好きになった曲です。
とても神経を使ってピッキングを綺麗に響かせるべき繊細な曲です。
そのつもりで練習したけど、さっぱり響かせられませんでした。
たろさんスマン。

「かたかご」は清らかな少女のイメージでしたが、「リラ」はスラっと背の高い綺麗ではかなげなお姉さ…………

失礼、またワタクシの妄想を開陳するところでした。

まあでも、「かたかご」の方はそっとてのひらに包んで見守りたい思い、「リラ」の方は手の届かない高みへの憧れ、っていうのはそれほど遠くないと思います。
実際、かたかごの花をじっくり見ようと思ったらしゃがみこんで見下ろしますし、リラは陽光に透けるのを目を細くして見上げる花なので。

この曲間のトークで、いけやんがワタクシに「マルスピアーレ」というグループ名の由来を尋ねる手筈となっておりました。
説明のための原稿とかも用意しようと思ってたんですが、バタバタしていて用意できず。まあ、言葉の足りないところはいけやんやたろさんが問いかけてくれるのにワタクシが答える形で補おうね〜、という事前の約束をしてあったのですが、
突然、天からナニかが降りてきたかのように、ワタクシの口から「マルスピアーレ」の意味やらどこの言語だやらマンドリン系の楽器とイメージがどう重なるやらどのような願いをこめたやら、ありとあらゆることが理路整然と立て板に水式に語られてしまい、他のメンバーと掛け合いをする余地なく終わってしまいました。
いつもの幾狭さんのカミカミの訥弁はどこへやら。
絶対ナニか憑いてました。

第一部のラストは、いけやんの「あなたにあげよう」です。
ここでワタクシは、マンドセロからマンドラに持ち替えますので、ト音譜をヘ音譜に読み間違えないようによくよく注意しなければなりません。
幸い、以前に同じメンバーで弾いたことがある曲だったこともあり、譜面の表記に気を取られて腰が引けるようなこともなく、この曲に関してはまずまず納得のいく演奏ができました。

以前にも書いたことがありますが、この曲のイメージは、小さな子どもです。
大好きな人に、自分のお気に入りのおもちゃでも道に咲いていた綺麗な花でもいつも楽しみにしているおいしいオヤツでも幼稚園で一生懸命作った工作でも何度も何度も読み返す絵本でも、ありとあらゆるものを与えたい。
そんな感じです。
ワタクシは非常に物欲の強い人間なので(たとえば、休憩時間にみんなで食べようとお菓子を持ってくる場合、異様に分量が多くなります。なぜなら、そうすれば均等に分けても自分の取り分が多くなるから。)、
自分の対極のものに対するあこがれを、この曲に持っています。


やっと第一部の記述が終わりました。文章長いよ俺……。


ここで牧師様よりショートメッセージがあります。
とても聞きたいのですが、我々は調弦があります。
急がねば、と思いきや、控室で調弦しながらでもしっかり聞こえました。

この演奏会が決まってから、この教会の所属する聖公会についてネットで調べてみたのですが、
「牧師様」というからにはプロテスタントかと思いきや、カトリックプロテスタントの中道的な宗派らしいです。元は(例の)イギリス国教会が源流のようです。
興味深かったので、演奏会後のお茶会で牧師様のお隣に座れたのをいいことに、恐れ多くも直接聞いてみたのですが、やはり「教皇との対立から分かれたものの、実際の中身はカトリックとそれほど変わらない」という当時の事情(わりと予想通り……)の他、スコットランド国教会がまた別枠であるとか、面白いお話をいろいろ聞かせていただきました。

そんなこんなで、いったい聖公会の教義とはどんな感じなんだろう? カトリックプロテスタントの中道とは? と、調弦そっちのけで耳をダンボにして聞いておりました。結果、

…………実家の檀那寺の住職の説経と、なまらかぶりました。

カトリックプロテスタントどころか、キリスト教と仏教の違いも乗り越えて、「人として善く生きるには」ということを突き詰めると共通するものが多いのかもしれません。
そりゃあ、ブッダとイエスが立川のアパートで同居しても違和感ないはずだよ。

第二部の1曲目は、いけやんのマンドリンとIさんのアコーディオンの二重奏で、「蘇州夜曲」です。

あらかじめ歌詞カードを配っていただいたのですが、お客様がほんとに一緒に歌ってくださったのが大感動です。
こちらの演奏会の担当をなさっている教会の方に非常にお世話になったのですが、その方が地元の合唱団の方でして。客席の後ろの方から朗々と歌ってくださったので、他のお客様も歌いやすかったのもあると思います。
ありがとうございました。

2曲目には、たろさんとワタクシも加え、マンドリン・マンドラ・マンドセロ・アコーディオンの四重奏で「カチューシャ」を弾きました。

Iさんは、クリスタルホールのウィンターコンサートで出番が前後&楽屋が一緒だったアコーディオン三重奏グループのメンバーで、教会とご縁がつながったのはこの方のおかげです。
当初はアコーディオン三重奏と我々マルスピアーレで1時間の演奏会の前半と後半にそれぞれ出演、みたいな青写真だったはずが、アコーディオンの他のメンバーの方々が出演されないということで、前半も後半もマルスピアーレが演奏させていただく形となったのですが、ぜひIさんとも合奏したいということでこのような形になりました。

この、Iさんのアコーディオンとの合奏が非常に楽しかったです
特に、セロとアコーディオンの一体感はワタクシの気のせいではなく、Iさんも同様に感じてくださったようです。
また、楽器の演奏だけでなく、Iさんとワタクシの一体感も気のせいではなかったと思います。

なんかもう、初対面のときからIさんとは初めて会ったような気がしませんでした。(※口説いているわけではない。)
というか、Iさん、Sound-Holeのメンバーでワタクシの相方・ぴよとキャラかぶってます。

教会での2週間前の練習で、礼拝堂のイスの端っこの段差につまずいてコケられたとき「あ、ぴよがいる。」と思いました。
さらに当日のリハーサルで、まったく同じ段差につまずいてコケられたとき、「もはやぴよとしか思えない。」と思いました。

ちなみに、ぴよとキャラがかぶるということは、ワタクシの母ともキャラかぶってます。
演奏会後のうちあげのときから、「まま」と呼ばせていただいております。
またぜひIさんと合奏したいです。

3曲目は再びマルスピアーレの3名で「流れよ、わが涙」を弾きました。
作曲者のダウランドは、イギリス国教会ができた時代の人で、カトリック信者だったために英国王室の音楽家としての出世が遅れています。
っていうか、カトリック国だからって自国と敵対してるスペインの王室と仲良くしてたら、それは自国で冷遇されるんじゃ……。

それはともかく、「流れよ、わが涙」は、悲しみの美しい成分を蒸留したような曲です。
ちゃんと弾ければ。

ルネサンス曲ですので、いけやんとたろさんはアドリブをバリバリ入れます。
ワタクシは芸がないので、ほぼ楽譜通り弾いています。
練習のときは、2人がどんなアドリブを繰り出してもタイミングは外さずに自分のパートを弾けたんですが、
本番であまりに斬新なのが出てきて(←たろさんのアドリブだっ!)思い切り外しました。
そして、その後の「1パートずつずれて入る」はずのところで、なぜかいけやんとそろって入ってしまい、ヤバい! と思ってずらしたら今度はたろさんとそろって入ってしまいました。
そのあと、何食わぬ顔で修正して本来の演奏に戻れたのが奇跡だと思っています。

続けて4曲目。同じくルネッサンス時代のイタリアの曲を2曲メドレーにした「白い花/サルタレッロ」。
マンドリン・マンドラ・マンドセロの三重奏で弾く曲としては一番気に入っている、シンプルで美しい曲です。

個人的には非常に好きなルネサンス曲ですが、お客様の受けはあまり良くないだろうと予測していました。
ところが、演奏会後のお茶会で、「流れよ、わが涙」から「白い花/サルタレッロ」の流れがものすごく気に入った、と言ってくださったお客様がいらっしゃいました。
ヨーロッパの香りがしたそうです。ああ嬉しい……。

第二部最後の曲は、たろさん作曲の「3つのマンドラのための組曲3 R274」です。
国道274号線をドライブするイメージの、疾走感あふれるカッコイイ曲です。マトモに弾ければ。

よりによって、第1楽章の入りで、幾狭さんが曲を止めてしまいました。

なんというか、アクセルを踏んでみたらギアがバックに入っていた感じです。
たろさん、スマン…………。

しかし、本当の恐怖は第3楽章に待っていました。
ハイポジション外しまくり、重音不発しまくり。
直前の個人練習で、なんとかハイポジの音が入るようになったと思ったのですが、リハーサルで合わせてみたらメタメタでした。
たろさん、ほんとにスマン………………。

礼奏の、たろさん編曲による「3つのマンドラのためのアメイジング・グレイス」は、弾いている自分たちを5メートル上空のエクトプラズムから見下ろしておりました…………。

演奏後のお茶会では、たろさんとIさんの即興演奏などもあり、とても楽しかったです。
手作りケーキの他、豚汁とおにぎりもごちそうになりました。うまかったです。
手作りケーキとママレードをおみやげとしていただきました。お茶会で出たケーキの中で一番気に入ったにんじんケーキが当たりました。嬉しかったです。
さらに、交通費という名目で過分な謝礼までいただいてしまいました。ワタクシ、熨斗袋の姿を見るまで、謝礼がいただける性質の演奏会だとは1ミリも考えておりませんでした。(むしろ、参加費を払ってないのに会場を提供していただいて演奏会をさせていただくような感覚でした……)
ほんとにごめんなさい。
帰るときはじめて、教会で作ってくださった演奏会の素敵な立て看板に気付き、記念写真を撮らせていただきました。

お世話になった教会のみなさま、聴きに来てくださったお客様、地元からはるばるアサヒカワまで来てくださった同僚のMさん、一緒に弾いてくださったアコーディオンのIさん、いけやん、たろさん、ありがとうございました。